感情を剥き出しにする動物、感情を抑える人間

暗闇と静寂に包まれていた早朝の空気を切り裂くように徐々に近づくサイレン音。私の身体に緊張感が走り、聴覚を研ぎ澄ます自分を感じました。

けたたましいサイレンを鳴らす消防車とすれ違うと滅多に吠えないサスケ(ワンコ♂7歳)が珍しく消防車に向かって吠えました。

臆病者のサスケだから恐かったのだろうと思い、私はすぐに「大丈夫だよ」とサスケに伝えて、抱いてさすってやりました。

滅多に吠えないサスケが吠えたので、よっぽど恐かったとか、余程の敵意を感じたのだと思います。
動物は元来、感情を表出することを躊躇しません。
それを威嚇や闘争・逃走として行動として実行に移すことも珍しくありません。
ワンコなら吠える、噛む、逃げるですね。

動物はトラウマを被らないと言われています。
Youtubeに麻酔銃で撃たれたホッキョクグマの動画があります。
そのホッキョクグマは低空を飛行するヘリコプターに追われ、科学者たちから麻酔銃によって昏睡してしまいます。

このような状態に陥ったことのないホッキョクグマにとって、この出来事はトラウマとなるに十分な出来事です。
麻酔が切れ始め虚脱の状態から抜けると、ホッキョクグマは激しい呼吸とともに痙攣で全身を震わせます。そして次第に呼吸が落ち着き、目を覚まします。

こうしてホッキョクグマは闘争・逃走反応を完了させることができました。トラウマティックな出来事によって体内に蓄積したエネルギーを無事に放出させ、トラウマを被ることもありませんでした。

けれど人間は違います。
周囲に迷惑をかけまいとして感情を言動として出すことを控えてしまったり。
周囲の目を気にして大丈夫なフリをしてしまったり。
気絶したことを恥じてダンマリ塞ぎ込んでしまったり。
このように闘争・逃走反応を完了させず、ストレスを身体に貯めたままでいると。
それが神経系に残存し、神経系の調整不全により様々な不調の原因ともなりえます。

感情の表出が動物と人間とでこのように違うのは、人間特有の脳構造によるものです。
人間は大脳新皮質と呼ばれる思考や言語などに関わる脳の部位を進化の過程で大きく発達させてきました。
そのおかげで文明を大きく発展させることができたのですが。
人間は社会的な生き物として進化をしたので、自分の感情よりも社会の安定を優先するケースが少なからず出てきたのです。
「社会の目を気にする」、「空気を読む」というやつですね。
前回のブログで「内面化された規範」に触れたのですが、それも社会を優先する一形態です。

これらは感情を司る大脳辺縁系を大脳新皮質の思考や理性で抑えていると言えます。
逆に動物は大脳辺縁系の活動を抑えることなく剥き出しにします。

かといって。
感情を剥き出しにすれば良いという訳にはいかないところが人間社会の難しさです。

それでも対処法はあります。
まずは自分の感情に意識を向けること、気づくことです。
そんなの簡単じゃないか、という声があがってきそうですけど。
社会の目や空気を気にして意外と人間は自分の感情を棚上げしたり、抑圧するものです。

そして感情には身体感覚が伴います。
感情を身体感覚に例えた表現ってたくさんありますよね。
腑が煮え繰り返る(怒り)
背筋がゾクゾク(怖い)
頭に血が上る(怒り)
胸が温かくなる(喜び)

などが典型的なものです。
こうして湧き上がる感情と身体感覚に気づけば対処もできるようになります。

タオルをぎゅーっと握りしめたり。
タオルを口に当ててちょっと大きな声で叫んでみたり。
クッションをポンっと叩いたり。

このようにストレスによって身体に生み出されたエネルギーを安全な方法で放出すると
ホッキョクグマのように神経系を元の状態に戻すことができます。

身体感覚や感情を感じるのは案外難しいものなので。
お1人で悩まず一度SE™︎セッションを受けてみてはいかがでしょうか。
トラウマインフォームドの安心・安全のもとだと、身体感覚や感情を感じやすくなるものです。

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